情報元 https://game-hashirigaki.site/tcg/mtg-wilds-of-eldrein/
例によってそれなりにカードが揃って、そろそろ良いかな……となった段階での所感です。
各種トークンを大量展開し、シナジーをメインに戦うデッキが多く、比較的に高速なアグロ環境になっています。アリーナだと自動処理ですが、紙だと大変そうな印象しかありません。
序盤からクロックを展開しないとひき殺されやすく、先手のぶんまわりが強すぎて、どうしようもないパターンがシバシバ。環境が高速なのでボム環境感は薄いです。
概要
協約とトークン
協約はエルドレインの森で定義されたキーワード能力であり、呪文を唱える際の追加コストとして、エンチャント、アーティファクト、トークンを生け贄に捧げることができる――というものです。
変則的なキッカーと言いますか、この手の追加コストとしては、クリーチャーを生け贄にできないという点が異なる部分です。クリーチャー・トークンはコストにできますが、独立したクリーチャーは対応していません。
当然として協約で呪文を唱える方が強力な効果になります。マナレシオ、テンポともに高水準になるので、協約を使えるかどうかで盤面の制圧力が変わってきます。
必然として協約のコストも環境に用意されており、役割、食物、宝物、ネズミなどのトークンが多数登場しています。単純に打点に繋がるトークンもありますし、これらを最大限に活用することで、かなりの速度で敵のライフを詰めることができます。
基本的にトークンを出せる軽量なカードは強いので、それを中心にピックを考えると良いでしょう。
役割オーラ
一般的にエンチャント(オーラ)というのは、除去されたときにカードアドバンテージを失いやすい欠点があるので、あまり評価されません。
なので開発側もあの手、この手でエンチャント(オーラ)を使わせようとしており、古くは《怨恨》という再利用できるオーラが存在しました。
今回の役割トークンもそれに該当しており、主効果のおまけとして「+1/+1」修正のオーラを生成するので、除去されても大きな損害を受けません。
注目したいのは「若き英雄」の役割です。最大でタフネス4まで成長させる強力な効果で、毎ターン殴られると止められなくなります。回避能力を持ったクリーチャー、パワーの方がタフネスより大きいクリーチャーと相性が良く、強烈な打点を形成してくれます。
「若き英雄」も含め、役割トークンには0.5マナ分くらいの価値はあるため、これらのトークンがクリーチャーのサイズアップに貢献します。序盤からクリーチャーを並べる方が戦いやすく、アグロ戦略の優位性を確かにしています。
帰ってきた当事者
前にエルドレイン次元を取り扱った「エルドレインの王権」から再び当事者カードが収録されています。
パワーカードだらけだった「エルドレインの王権」を代表するメカニズムであり、1枚のカードが2枚に化けるという仕組みです。特にアドバンテージに直結するような当事者カードは強力であり、それはリミテッド環境においても変わりません。
とはいえ、そういったカードは少数であり、アンコモン以上が主になります。
当事者カードが主に青の役割になったので、その青が振るわないリミテッド環境では少しは丸くなった印象です。いや、当事者を警戒し過ぎて、青が弱いのかもしれませんが……。
各色の傾向
赤 > 黒 = 緑 > 白 > 青
白
アンコモン以上のカードが強い反面、コモンのカードは質にばらつきがあり、クリーチャーにしろ、除去にしろ、少数のカードを取り合う形になります。
コントロール向きのカード、飛行系はアンプレよりなので、低マナのカードを揃えていきたいです。
《取り籠め》のようなクリーチャー拘束系カードは、今回のパーマネント参照、協約の弾にもなるので、普段より高い評価が付きます。
同じ系統である《王女、空を飛ぶ》は、3章になると追放したクリーチャーが戻ってしまいますが、2章の段階で協約を使って処分したり、《備え蓄える祝賀者》で手札に戻せば、対象は永久追放です。
《備え蓄える祝賀者》は地味なようで強力な3マナクリーチャーであり、相性が良いカードが色々あるので、アグロ同士のリソース勝負になったときに強いです。
青
今回のルーザーカラーと言えるでしょう。
環境がかなり攻撃的な状態なので、クリーチャーサイズに劣るというのが辛いです。地上からガンガン殴ってくるデッキがメタの中心なので、小粒の飛行クロックではそららに対抗できません。
青の割り当てが当事者であるため、トークンの生成能力が低いのも欠点です。他の色がトークン利用が前提のデッキになるので、青であることが半ば足を引っ張る形になります。
カードアドバンテージを稼ぐ手段などが上手く嵌れば、なんとか……といったところで、よっぽどのことが無い限りは手を出すのを避けた方が良い色です。
黒
優秀な除去を抱える色であり、赤に次いで横並べに強い色です。繰り出される大量のネズミトークンを利用して、攻撃的にも防御的にも動けます。
除去の種類が豊富なのも魅力です。
反面、クリーチャーの質が劣る側面があり、特にフェアリー軸だと打点不足になりやすいです。ネズミや食物が出る軽量クリーチャーが主力です。
赤と組んで横並べアグロを目指すか、緑と組んでミッドレンジにするのが良いですが、やはり除去ありきの色だとは思います。
赤
エルドレインの森における最有力色です。コモンのクリーチャー、除去共に優秀であり、デッキの質が安定します。
トークンの生成能力がかなり高いので、協約を含めてアーキタイプの成立しやすさ、他色の足りない部分を補う能力が高いです。クリーチャーの質もあるので、横並べからのごり押し突破にも優れています。
コモンで注目しておきたいのは、ネズミ製造に関わるクリーチャーです。《ネズミ捕りの見習い》や《エッジウォールの群れ》がそれに該当します。協約のコストを供給し、祝祭の条件を1枚で達成できます。
除去としては追放付きで軽い《塔の点火》と、「若き英雄」のトークンを生み出せる《乱入》があり、敵のブロッカーを排除しつつ殴るというシンプルな戦略を後押ししてくれます。
アンコモンに関しても粒ぞろいです。《イモデーンの徴募兵》は赤単体で使っても優秀な1枚ですが、赤だと宝物トークンが出せるカードがいくつかあるので、それを利用すれば出来事から展開することもできるでしょう。
総じて、「エルドレインの森」におけるアグロ有利の環境を定義している色なので、赤をやれそうなら赤を選んでおく――というのも一つの手です。
緑
土地によるマナ加速、巨大クリーチャーという定番に加えて、食物トークンの生成に長けています。対アグロの急先鋒であり、中速で抑え込むのを期待できます。
主に食物関連のカードが優秀で、特定の利用先が無くとも、協約やライフ回復に使えます。
《小村の大食い》は協約を使えば5マナ6/6トランプルというコスパになるので、緑をやるならまず採用しておきたい1枚です。ライフ回復も付いているので、アグロ戦略への対策になります。
《僻境との対峙》は多色を目指すときの重要パーツです。協約すると土地が3/3クリーチャーになるので、クロックを用意しつつ土地を探せます。協約すれば3/3速攻なので攻めにも強いです。
主だったアーキタイプ
通例どおりの2色環境なのですが、青関連だけ毛色が異なっており、トークンの利用があまり活発ではありません。青が他色の足を引っ張る傾向が強いので、青絡みはあんまり良いデッキになりません。
3色以上の色を使うのなら何かしらのサポートは必要です。
緑絡みだと3色目に触れやすいですし、タッチで当事者を両方使えるようにするくらいなら赤の宝物でも事足ります。
有力アーキタイプ
実際に7勝したときの例から。
ボロス祝祭アグロ
白赤に定義された祝祭の能力語を生かして、高速でライフを詰めるアグロデッキです。
祝祭の達成には土地以外のパーマネント2つが場に出る必要があるので、それを達成しやすい軽い構成にするのが大事です。1マナ3枚、2マナ7枚くらいが目安かと思います。
1マナのクリーチャーであっても「若き英雄」を付ければ十分な脅威になりますし、《ジンジャープルート》のアンブロで詰め切れる場合も。
《パーティー破り、アッシュ》は祝祭を持った代表的な1枚で、祝祭を達成しているときに攻撃すると+1/+1カウンターが乗ります。こいつがシンデレラとは思うまい。
クリーチャートークンを出せるカードは1枚で祝祭を達成できて強力です。白にもそういったカードはありますが、やはり赤の方が枚数が豊富で爆発力があります。
《イモーデンの徴募兵》は屈指のパワーカードであり、こういったマルチカードの強さもボロスの強さを押し上げる一因となっています。
除去ができるパーマネント、パーマネントが出せる除去などもあるので、それらを駆使して殴り続けるのが基本プランで、最速4、5ターンで決着が付く場合もあります。
上記はすっごいドラゴンが来たので無理やり採用するためにやや重たい構成になっています。
黒赤ネズミ
赤黒に対応する御伽話は「ハーメルンの笛吹き男」です。
それを反映して、ネズミをひたすらに展開していき、数の暴力で敵のライフを詰めるアグロデッキになります。ネズミは1/1というサイズで、ブロックもできませんが、サポート能力を持ったクリーチャーも多数存在します。
ネズミによる横並べ自体はコモンでも成立するので、デッキに安定感があります。
ネズミトークンを含めてクリーチャーを横並べしていき、最後に《かじりつく大合唱》を使って+2/+0修正を掛けるわけです。
上記はほぼレアを使っていないのですが、ネズミの圧が強かったので奇襲で頓死させて勝てました。本物のイモーデンは飾り。
黒緑フード
黒緑に対応する御伽話は「ヘンゼルとグレーテル」です。
食物トークンを量産し、それを使って戦うミッドレンジであり、特性上アグロに対して耐性があるのが特徴です。
食物トークンを直接参照するカードは色々あるのですが、《固いクッキー》や《甘歯村へようこそ》は単色で受けが広いので初手級の強さを持ちます。
《ジンジャープルート》も食物なので、それから最速で《甘歯村へようこそ》に繋げれば、シャレにならにアンブロ生物になったりします(上記では《甘歯村へようこそ》が取れていませんが)。
《菓子の復讐の夜》も弱くはないですが、食物が相当無いと機能しないので、上記のような構成は例外的なパターンかもしれないです。