情報元 https://esports-world.jp/interview/37849
現在、韓国ソウルで開催中の『VALORANT』の最高峰リーグのひとつである「VCT Pacificリーグ」。初週(Week1)最終試合であるこの日、日本代表として出場している🇯🇵DetonatioN FocusMe(🇯🇵DFM)は、Kickoffでは3位の強豪🇰🇷T1と対戦した。
チームとして昨シーズンから白星をあげられていない🇯🇵DFM。念願の初勝利を獲得できるのかと、注目が集まっていた試合である。
第1マップのアセントでは、Meiy選手のキルを皮切りに1stラウンドを獲得する好調な滑り出し。索敵アビリティーに乏しい構成ながらも、アタッカーサイドを5:7で折り返すという善戦を見せた。後半は🇰🇷T1に1st・2ndラウンドを取られてしまうものの、3rdラウンドからは怒涛の6連取。そのまま流れに乗った🇯🇵DFMは、13:10で勝利した。
第2マップのロータスは、🇰🇷T1側のピックマップということもあり、5:13で敗北。しかし続く第3マップのサンセットでは、双方競り合いながらギリギリの戦いを繰り広げ、同点で前半を折り返す。その流れは後半にも続き、その超接戦に誰もが固唾を呑んだが、13:11というスコアで🇯🇵DFMが見事勝利した。
そんな試合直後にAnthem(あんせむ)選手、Meiy(めい)選手がインタビューに応じてくれたので、その様子をお届けしよう。
まだ直すべきところはある——ただうれしかった
——試合おつかれさまでした!
Anthem、Meiy:ありがとうございます!
——まずは、今日の勝利の感想をお聞かせください。
Meiy:今もそうですけど、勝ったことに実感が湧かないというか。自分たちができたことに信じられない気持ちで、本当にうれしい感情でいっぱいです。
▲Meiy選手
Anthem:去年勝てなかった分、「やっと勝てたな」とホッとはしているんですが、まだもっといい試合内容にできたなとい部分もありますね。攻めだったり、アンチエコの部分だったりで落としたところが多かったので、修正しなければいけないと思います。ただ、うれしかったです。
——まだチームとして改善点があるということなのでしょうか。
Anthem:はい、まだチームとして直すべきところはありますね。
——DFMとして長い間負けがこんでいた中での一勝。少し時間が経って、今はどういう気持ちなのでしょうか。
長かった、本当に長かった🥲
みんな応援ありがとうございました!
vs T1 2-1 WIN!!!!! 🔥🔥🔥🔥🔥🔥— Anthem (@AnthemFps) April 9, 2024
▲「長かった、本当に長かった」と初勝利の喜びをにじませるAnthem選手
Anthem:勝った時はうれしかったですし、控室に戻ったときもちょっと浸っていました。ただ「次はGen.Gかぁ」と思うと、ちょっとしんどいなあと(笑)。
でもやらなきゃいけないんで!
今はこの勝った勢いをGen.G戦にどうやって持っていくのかだけを考えています。
——試合後、Meiy選手とAnthem選手がずっと抱き合う場面がありました。その時どんな感情でしたか?
Meiy:とにかくうれしすぎて、信じられなくて、涙が止まらなくて(笑)。ずっとハグしてたというよりかは、動けなくなったが正しいかもしれないですね、興奮のあまりに。
——感極まった、という感じですかね。
Meiy:そうですね。
——厳しい場面でもうまく打開した場面も多く見られました。今回戦ってみての感触はいかがでしたでしょうか。
Meiy:Pacificに来るまではオフライン環境にすごく苦手意識を持っていたんですが、Kickoffのときのパフォーマンスも良かったですし、今回もいい感じにできたと思います。今はもうオフラインの時の自分が一番強いなって思います。
——緊張はしますか?
Meiy:まったくしないっていったらウソになりますけど、適度な緊張感で——撃ち合いに影響が出ないくらいの緊張感で、むしろバフがかかっている感じがします。
勝利という誕生日プレゼント
——そういえばMeiy選手は試合前日の4月8日(月)はお誕生日ということで——おめでとうございます!
Meiy:ありがとうございます!
GAMEDAY vs @T1
誕生日プレゼントは勝ちがいい勝ちたい— Meiy (@meiyfps) April 9, 2024
▲試合前日の4月8日(月)が誕生日のMeiy選手。見事勝利というプレゼントを勝ち取った
——ちなみに、何かプレゼントはもらいましたか?
Meiy:何ももらってないですね(笑)。ケーキはいただきました!
——チームとして、今の雰囲気はいかがでしょうか。
Anthem:雰囲気自体は全然悪くなくて、みんな楽しみながら一生懸命プレーしていて、いいと思います。
——元Crazy Raccoonのメンバーが加入したことで、チームの雰囲気は変わりましたか?
Anthem:変わったんですかね——いや変わってると思います(笑)。もちろん3人で今までやってきた分もあると思いますし。
あとはSSeeS(せす)は馴染みやすい性格なので、チームにもうまく溶け込んでいて、結構いい雰囲気ではあると思います。
——先ほど日本の公式配信で、neth(ねす)選手が「チーム内でケンカがあった」と……。
Anthem:ありました、ありました。誰がケンカしたとかは言えないですけど(笑)。
——もちろん話せる範囲で大丈夫です(笑)。
Anthem:その日の練習がダメになっちゃうかなというレベルのケンカがあって。でもコーチが仲介に入ったり、当本人たちがちゃんと話し合ったりして、ちゃんとその日のうちに解決できたというのが今日しっかり戦えたひとつの要因かなと思います。
——Meiy選手の「勝てる!」という声が配信にも映っていました。声出しという面でなにか意識してはいましたか?
Meiy:練習のときから、劣勢の時にコミュニケーションが減ったりすることが課題に挙げられていました。僕もそんなにメンタルが強い方ではないんですけど、でも今このチームの中で、自分が一番声を出せる選手だと思っています。
スクリムでも「モチベーター」っていう役割で常に声を出すように頑張っているので、いつも通りの声出しを大会の中でもやったという感じです。
変化球を狙った構成
——強豪🇰🇷T1へ見事勝利しました。今日のこの勝因はなんだったのでしょうか。
Anthem:アセント(第1マップ)では普段見ないような構成で、それに相手も対応しきれなかったという部分が一つ。それに勝って勢いづけたのが、今日の勝因だと思います。
▲🇯🇵DFM(右)は、あえて主流ではないレイズを採用するなど、少し変わったエージェントを選択した
——今お話にあったように、第1マップのアセントではオフメタ構成を選択していました。これにはどのような意図がありましたか?
Anthem:これは自分がやってみたかった構成なんですけど、ちょっと時間があったので選んでみたというところです。あとは、リーグ戦というところで同じ相手と再戦する期間が長いので、あまり対策されにくいような一発勝負に強い構成ということで出しました。
——変化球を狙っての構成だったんですね?
Anthem:そうですね。
——この大会の中でオフメタ構成を出すという不安はありましたか?
Meiy:自分のプレーには自信があるので、そんな不安はなかったです。
ただ、アセントに関してはレイズが一番苦しいポジションなんですよね。ドローンはないし、索敵できるのがルンバ(ブームボット)しかないっていう(笑)。それでもスコアが低いと責められちゃうので、責められたくないと思って頑張ったのはあります。
——めちゃめちゃ今回強かったですよね。
Meiy:そうですね、頑張りました。
——実際に戦ってみて、🇰🇷T1の何が大変だったと感じますか。
Anthem:アセントに関しては、構成もあってか順調に試合運びできたと思います。攻めをちょっと落としちゃったりはしたんですけど。
ロータス(第2マップ)に関しては、チェンバーの対策はしていたんですが、そのほかの選手の配置を見ると、やはり自分たちのクセを見てきているなと感じて、難しかったですね。
Meiy:相手の作戦の豊富さに凄く翻弄されましたね。毎ラウンド固定された動きのように見えて、実は全然違うことをされていたりとか。こっち視点では同じことをやられているのに、客観的に見たら全然違うことをされているような。すごくマクロ的にはやりづらかった相手ですね。
——なにかチームとして対策したことはありますか?
Anthem:「🇰🇷T1だから」というのはあまりなくて、自分たちがやるべきことをやって、相手が何やっているかを考えて、どうするかを話し合うのにフォーカスしていました。なので、対策でこれをやろうというのはあまりなかったですね。
▲Anthem選手
Meiy:相手の構成が変動的なので、実際に構成がわかってから話し合おうという形でした。事前に「🇰🇷T1のこういう構成にはこうした方がいいよね」みたいな話はほとんどしてなくて、試合開始前の1分間くらいに「こうした方がいいね」ということを相談していました。
でも主に一番話してたのは「自分たちがいつも通りのプレーすることが一番大事だから、いつも通りにやろう」ということでしたね。
——特にアセントやロータスの前半戦は、エージェント構成上難しい戦いだったかと思います。そんな中、ほぼ同点での折り返しをするなど、善戦ができた理由はなんだったのでしょうか。
Anthem:個々が撃ち合いに勝ったというのもありますし、しっかり相手の弱いところを攻めれたからなのかなと思います。
——個人的にひとつ気になったプレーとして、1マップ目のアセントでAnthem選手のフラッシュと合わせたMeiy選手の4キルが印象に残っています。
Meiy:ありましたね。
——こういった連携がすごく光った試合だと思いましたが、実際これは意図的に行ったプレーなのでしょうか。
Meiy:ちゃんとAnthemから「フラッシュ入れる」というコールがあって合わせましたね。あの場面では、自分は走ったわけではなく、ブラストパックを2個使って最短ルートで寄ったので、あのフラッシュのカバーが間に合った感じです。
自分の寄りもナイスだったし、Anthemのフラッシュコールもナイスでした。もうコンボみたいな感じで、一番いいシナジーが生まれた感じですね。
次戦🇰🇷Gen.Gは読みづらい相手
——Meiy選手は国内リーグからの転向にはなりますが、実際に世界を舞台にして戦ってみて、何か違うところはありますか?
Meiy:敵の個人個人のパワーやプレイスキルがより際立っていて、本当に穴がないチームばかりだと思います。
——次の試合は🇰🇷Gen.G戦です。世界2位のチームということで、強豪続きにはなりますが、特に抱いている印象などはありますか?
Meiy:今日の試合もちょっと見たんですけど、ちゃんと世界2位だなって思いました。個人的には、何年も前からt3xture(てくすちゃー)選手がジェット最強プレイヤーだと思っているので、彼には本当に警戒しています。
Anthem:試合を見てみて、「🇰🇷Gen.Gだからこういう攻め方してくる」とか「これが🇰🇷Gen.Gだよね」みたいなのがなくて、本当に読みづらい相手だと思っています。
ただゲーム中の読み合いだったり、情報戦だったりをうまくできれば、十分対応できると思うので、その辺をコミュニケーションで補っていこうかなと思います。
——次の試合、ひいてはプレーオフ進出に向けて、今後の意気込みをお聞かせください。
Meiy:次の🇰🇷Gen.G戦は「世界2位だから」とか「最強だから」とかにはビビらず、自分たちの今まで練習してきた通りのプレイをちゃんとやれば勝てると思っています。なので、次もいつも通りの自分たちのプレーで頑張りたいと思っています。
僕たちはStage1を通して、プレイオフ進出を目標に頑張っています。Gen.G戦だけでなく他の試合も、できれば僕は1回も負けたくないので、すべての試合に勝ちに行くつもりでやっていきたいと思います。
Anthem:まずは第1戦目を勝ちで締めくくれたので、この勢いで2戦目もみんなで勝てるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします!
——ありがとうございました!
———
Kickoffから善戦を見せるも、未だ勝ち星を得るには至らなかった🇯🇵DFM。そんな中、このWeek1のトリを飾る試合で、見事DFMは強敵🇰🇷T1相手に初勝利をもぎ取った。🇰🇷T1の思い切ったプレーと圧倒的なフィジカルに翻弄されたものの、それに負けない打開力を見せた🇯🇵DFM。試合が進むにつれ、配信のコメント欄の雰囲気がどんどんと🇯🇵DFMサイドに傾いていく様子は、もはや痛快にも思えた。
一方でAnthem選手の言葉にもあったように、まだまだチームとして課題があることは事実だろう。特に3マップ目のサンセットでは、武器不利の🇰🇷T1に何度もラウンドを取られていたのが印象に残った。
だが幸いにも、これはリーグ戦。次の試合まではまだ少し時間がある。次は世界2位という肩書きを持つ🇰🇷Gen.Gが相手ではあるが、今日の戦いぶりを見れば決して劣らない戦いを見せてくれるだろうと期待ができる。念願のリーグ戦初勝利、この勝利を踏み台に🇯🇵DFMはどのような活躍を見せてくれるのだろうか。
© 2024 Riot Games, Inc. Used With Permission
■関連SNS
VALORANT // JAPAN:
https://twitter.com/VALORANTjp
VALORANT Champions Tour JAPAN:
https://twitter.com/valesports_jp
■配信URL
Twitch:
https://www.twitch.tv/valorant_jpn
YouTube:
https://youtube.com/@VALORANTjp
AfreecaTV:
https://bj.afreecatv.com/valorantjp
編集:いのかわゆう
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。
X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)